この記事は、広島県カイロプラクティック協同組合理事長の時代にお世話になっていた広島県中小企業団体中央会が発行する「中小企業ひろしま」という会報の平成23年9月号に掲載させていただいたコラムの原稿です。

image まだまだ残暑も厳しいかと存じます。この記事は、お盆に私の実家の豊栄で書いていますが、広島市内と比べると、およそ5℃程度も気温が低いようで、大変過ごしやすく、下界に戻るのが苦痛になるくらいですが、皆様、水分はしっかり摂られていらっしゃいますか?

さて今回はバランス(姿勢)のお話を。

私の院では、20~30代の方が55%を越えており、結構若い方が中心になっています。そんな中、先日、80代の方が来られたんです。病院でパーキンソン症候群と診断されたとのこと。歩き方に特徴があって、足の踏み出しが、反対の足のつま先よりも前に出せないため、ちょこちょこと歩かなければならず、しかもバランスが取りにくいために狭いところを歩くのが難しい状態。この方を、仮にAさんとしましょうか。

結論から言うと、施術によって運動能力がある程度回復することができました。来院されるときには奥様に連れられて、わずかな距離も時間をかけて歩かなければならなかったんですが、お帰りになるときには、奥様が置いてけぼりになってしまうくらいスタスタ歩いて帰っておられた。そのご様子を観て、思わず嫁と喜んでいました。

今まで、カイロプラクティックに関しては、大きく分けて二つの点をお話ししてきました。

  1. カイロプラクティックは神経機能を回復させる。
  2. 関節の運動性を回復させ、肩や腰等にかかる負担を軽減する。

というもの。今回は、2の話になります。
関節の運動性が回復すると、楽な姿勢をとることができるようになります。その姿勢は、見た目に悪くなることはありませんね。
肩や骨盤の高さ、足の長さなどが左右で違うより、揃っていた方がバランスが取れて楽なはずだし、真摯な態度に見えます。
猫背よりも、背筋が伸びている方が、背中の張りや首・腰にかかる負担が軽くなるし、堂々として見えます。また、若々しくも見えます。(若い方の猫背は老けて見えますよね。)
結局、身体の中心を通る重力中心線が、関節の引っかかりによって身体の中心から外れてしまうんですね。そのためバランスが悪くなる。
つまり、関節が引っかかると、姿勢を歪めないと真っ直ぐに立てなくなります。しかし、大抵は少しずつ悪くなるから、なかなかピンとこないんですね。
少しずつ歪むから、なんとかその姿勢に折り合いをつけて真っ直ぐに立ったり、歩きにくいなりにバランスをとってスタスタ歩かれているものなんですが、突然体が歪みだしたら、場合によったら前述のAさんのように、歩くことが難しくなってしまう。ということにもなりかねません。

逆に言えば、極端な歪みを持っている方も、姿勢が良くなれば、体を動かし易くなる。ということ。

脳性麻痺などでもそうでしたが、極端に悪い姿勢など、麻痺になったものまで回復させることができるとは言えませんが、関節の運動性を少しでも回復させることで、残っている運動能力を少しでも効率的に使い、それまでの歩きにくさ、動きにくさを少しでも解消することができることを、これまでの臨床で経験しています。

街を歩いていると、たまに車椅子に乗っていらっしゃる身体障害者の方をお見受けしますが、車椅子に座っていてさえ、体を歪めなければならない。あれでは自分の足で立とうと思っても無理ですよね。でも、もしあの歪みが半分にでもなれば…、もしかすると、自分の足で立つことができ、笑顔を見せてくれるのではないか。あるいは、なんとか歩けている方でも、ぎこちなさが少しでも取れるのではないか。

カイロプラクティックは、様々な分野に必要とされている。と思っていますが、今回私は、Aさんの施術を通して、リハビリの分野におけるカイロプラクティックの必要性を、あらためて強く感じました。

吉野俊司プロフィール
身も心もスッキリ!うるさいほどの説明に安心を添えるカイロ健康アドバイザー
広島県カイロプラクティック協同組合 前代表理事
一般社団法人全日本カイロプラクティック学会 広報担当
カイロプラクティックセンター広島(広島市東区愛宕町8-40)院長(https://imchiro.hiroshimas.in/)
平成3年にカイロプラクティックを修得。その後平成7年3月に現在の場所に開院。
平成19年3月、オーストラリア公立マードック大学健康科学部カイロプラクティック学科BHSc(Chiro)コースを卒業し、国際基準の教育を修めています。
今年2月で、カイロプラクティックを始めて20年。いろいろな活動を通じて、カイロプラクティックの啓蒙活動を積極的に行っています。
イベントにも、積極的に参加しています。
家族構成は、妻と中学生の男の子で、賑やかに暮らしています。