腰部椎間板ヘルニアの患者さんに、ヘルニアはこうしてできるんですよ。という説明をしたけれど、腰部も頸部も似たような仕組みで発生するから、腰で説明を書いておきます。

ちなみに椎間板ヘルニアっていうのは、背骨のS字弯曲(生理弯曲)が消えて身体が捻じれた状態になったときに出てくるようです。

では、詳しいお話を。image

背骨は、24個の脊椎骨があり、一番上をのぞいて椎間板でつながって、前後から観ればまっすぐ、横から観ればS字状に積みあがってます。図1ですね。腰の骨は、まっすぐに立っていれば前に弯曲しているのが正常な状態。(首もそうですね)

この弯曲が崩れてできやすいのが猫背。骨盤が後ろに傾き、腰の骨がまっすぐになって身体が後ろに傾くのを背中(肋骨のついてる辺りね)を丸めてバランスを取っている姿勢です。

生理弯曲は、身体を支えながらも弯曲をしていることで靭帯と一緒になってクッションの役目をしています。コイルにはなっていないけど同じような作用。もちろん椎間板もクッションになるけれど、どちらかというと椎間板は姿勢を変えるときのクッション代わりかな。
ショックアブソーバーは筋肉。背骨の周りで骨をつなぎとめている靭帯も、今回のヘルニアの話では重要な役割を持ってます。前縦靭帯・後縦靭帯・黄色靭帯・関節包靭帯・横突間靭帯・棘関靭帯・棘上靭帯…くらいかな。まぁ、おおざっぱだけれど。

腰の骨、いわゆる腰椎は猫背の時にはまっすぐになったりひどい時には後ろに曲がっていたりします。この状態で動きがなくなったらひどい腰痛になってたりしますね。

そして、たいていの腰痛は、この状態からいろいろ変化していくことでそれぞれ病名が付いていくようです。

さて、今回は椎間板ヘルニアのお話。

椎間板ヘルニアの仕組み

腰椎弯曲 腰の骨がまっすぐになると(図2クリックで拡大)、本来は前に弯曲しているから、横から観ると腰の骨(腰椎骨)も椎間板も前側が広く後ろ側が狭いくさび型をしてます。でも、まっすぐや後ろに曲がると骨の形は変わらないけれど(というか変わったら骨折よね^^;)椎間板の形は変わります。そう、前が狭く後ろが広くなってくれる。だから姿勢を変えるときのクッションなんですよ。

で、立っているから上から体重の圧力が加わります。

くさび型をしているから、骨は前に出ようとします。椎間板は後ろに出ようとします。前縦靭帯(図2赤線)は椎骨に貼りついていても椎間板には貼りついていないから、椎間板が狭くなったら椎間板の前でたるみますね。だから骨が前に出る余地ができるけれど、残念ながら後ろにあるたくさんの靭帯が引っ張って骨を引き留めてくれるので動けない。

腰椎回旋 代わりに出てくれるのが、椎間板。もちろん後ろにですね。でも、こちらは椎間板に貼りついている後縦靭帯(図2緑線)が頑張ってくれて極端には膨らまないようになってるんですよ。でもね、身体が捻じれると(図3クリックで拡大)、真ん中で頑張っていた後縦靭帯が横によけてしまう。

するとよけた反対側が広くなって、体重の圧力で大きく膨らむことができるようになる。この膨らんだ椎間板がそばを通る神経を圧迫して痛みを出すんですね。

これが、椎間板ヘルニア。(図2,3 青 い三角矢印で示す悪くなる方向)

どうすればいいか

だからやるべきことは、身体のねじれを取り、腰の生理弯曲を取り戻すこと。

そうすれば、椎間板は膨らむくらい柔らかいんだから勝手に引っこんじゃう。それでも引っこまなければ、ここで初めて牽引ですね。

ただし、20kgも30kgもかけて引っ張ると、筋肉が身体を守ろうとして引っ張り返します。負けたら身体が千切れちゃうから牽引よりも強い力で必死になって引っ張り返す。つまり、牽引をしようとして結局は肝心なところを圧迫させてしまっているんですよ。だから、強く引っ張ってはいけない。
患部を、筋肉が反応しない程度の数グラム~数十グラム程度で牽引すると効果が出るんですね。

こういった一連の対処を、当院では実行しています。(図2,3 緑の三角矢印で示す良くする方向)

だから、案の定、今回の方も結構楽になっていただいているようです。
ただ、身体のゆがみは長期間の間に癖づいているから、どうしても症状や状態が戻りがち。だからしっかりと予防も行いつつ、ある程度の期間は施術を継続しなくちゃいけませんけれどね。(*^ー゚)b

そうそう、今回使った図は結構頑張って作ったものだから、勝手に使わないでね。